壱:鳥居のムコウ

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鳥居のずっと向こうの景色が揺れた。 水面が風に吹かれた時みたいに揺らいで静かに戻る。 その光景が近くの鳥居へと迫っていた。 ――タン 祭の小太鼓を叩くような音が聞こえた。 その音は景色が揺らぐと共に響く。 ゆっくりと歩くような、誰かを探しているかのように。 明らかに私に近づいている。 なぜ自分が探されていると思ったのか、理由はわからない。 そんなこと考えてる暇があったら、何かできたらいいのに。 それか、誰か助けて…… ってなんて人任せな。 ――自分で何とかなさい おばあちゃんの言葉を思い出す。
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