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鳥居のずっと向こうの景色が揺れた。
水面が風に吹かれた時みたいに揺らいで静かに戻る。
その光景が近くの鳥居へと迫っていた。
――タン
祭の小太鼓を叩くような音が聞こえた。
その音は景色が揺らぐと共に響く。
ゆっくりと歩くような、誰かを探しているかのように。
明らかに私に近づいている。
なぜ自分が探されていると思ったのか、理由はわからない。
そんなこと考えてる暇があったら、何かできたらいいのに。
それか、誰か助けて……
ってなんて人任せな。
――自分で何とかなさい
おばあちゃんの言葉を思い出す。
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