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「どこに行きたいの」
誰もいないことを良いことに猫に話し掛ける。
人の目があるならばそんなことはしないが、人がやっとすれ違うことができる空間には私と一匹の猫しかいない。
ただ気を紛らわしたかった。
私は不思議なことによく巻き込まれている気がする。
上から植木鉢が落ちてくる。
家を出た後の記憶がなくて、気が付いた時には目的の場所にいる。
つぼみにもなってないような花が次の日には満開になっている。
全部、ありえること、気のせいかもという範囲だけど、少しおかしい。
もしかしたら、この猫もおかしなことを引き起こす仕掛人の一人……仕掛猫の一匹じゃないかと思う。
大げさだけど、私には経験からの直感が芽生えていた。
――何かがある、って。
――シャン
また、どこか聞き覚えのある音が耳の奥で鳴った。
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