壱:鳥居のムコウ

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そんなに不安なら、引き返せばいい、と思うのだがそれも気が引ける。 テストの解答欄は無理矢理にでも全部埋めろって先生が言うように、おばあちゃんに始まる前から諦めるな、って言われて育った。 テストの解答を全部埋めようとして、空欄には同じ答えを書くようなごまかしはきかない。 単純に怒ったおばあちゃんはこれ以上ないぐらい怖い。 おばあちゃんが見ていない所でも約束を守ろうと思えるぐらいに。 おばあちゃんが怒ると、飯抜きに、風呂抜き、布団抜きで、練る時は座布団枕だけで反省しろ、というお仕置きもついてくる。 座布団に涙を流したことを思い出すとむなしくなってきた……荷物を抱える腕はもう感覚がない。 はぁ、とため息をつく。 少し休もう、そう思って猫の様子をうかがうために顔をあげた。
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