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痛み。
それこそ幼児のカルタ遊びでは良くある、読み札を取った子の手の平の上に上に、手の平を重ねるような。
コンマ数秒の差で遅れた側の手の平が、上へ上へ重なるような。
だけれど、しかし。
そんな優しい物じゃないのだ。
そんな優しい痛みじゃないのだ。
だってそれは、ただ単に手の平が重なった訳じゃなく、千枚通しが装着された機械ごと、手の甲の上から重なった訳で。
それはもちろん、手の甲を貫通し、針の山ごと、手の平に突き刺されたのだ。
尋常ない無い痛み。
「ぎゃああああああああああああああああああああっ!!」
この和室で目覚めて、初めて声を出して叫んだ。
「あああうあぁあああっ!」
止まらない痛みの波に教われながら。
お互いに微動だにしない。
「ひぃぃい…」
情けない声を出しながら、俺の手の平の上に突き立てたその千枚通しはまったく動かさない相手である。
「あっああああう…」
「があああああああああああああっ!!」
次は、次の驚鳴は、隣から聞こえた。
四つに分かれたペアの、俺らの隣のペア、激痛でよそ見もする気がおきないので、見たくも無いのだけれど、どちからが俺と同じ事にあったのだろうと思う。
痛え痛え痛え痛え痛え!
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