名無しシリーズ

カルタ

それを必死に外そうと試みる彼ではあったが、どうもしっかりと固定してあるようで、外れる気配は無い。

気が付けば周囲、八畳ほどの畳張りの和室に、自分を入れて八人の人間が正座の姿勢によって座り、全員同じ様にそれぞれの利き腕に、まったく同一の機械が装着されていた。

意識もしっかり戻ってきたようで、周りの人間の様子もしっかり認識出来る。

「あわゎわゎ…」だとか。
「んだよ、これぇ」だとか。

八人が八人、状況に困惑し、八人が八人、驚動しているようだ。
かくいう俺も含めて。

利き腕に目をやると、その禍々しい金属装置をしっかりと確認出来る。
至るところに関節部分が有り、複雑な設計をされているようで、腕の感覚的に軽く圧迫されている部分と、まだまだ余裕のある部分が分かる。

そして、最も注意するべき箇所と言えば、最も注目するべき箇所と言えば、掌にしっかりと固定され、一本一本しっかりと磨かれたように光り、一本一本しっかりと研がれたように鋭利な、千枚通しである。