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「ふざけんな!おらぁ帰るぜ!!」
それこそ、左後方の厳つめの男が、立ち上がった時だった。八人の中で一番動揺を隠しきれずにいた、頭を刈り上げた彼、である。
正座の状態で何時間も座らされているのか分からないけれど、俺の足はもう痺れに痺れ、感覚が途絶え、立ち上がるのさえ骨を折るような作業であることを看破して、座りながらの考察を行なっていたのだけれど、それは、本当に偶然に、その考えは功を奏したと言えよう。
その男が立ち上がった瞬間。
いや、正しくは立ち上がっている途中に、その利き腕の機械的装置が作動した。
ピンッと、何かがすっぽり抜けるような音がして。
男の右腕の機械が、本来人間の関節上、自力では絶対に向かわない方向へと、一気に一回転したのだ。
物凄い音が、和室に拡がった。
ゴキゴキと。
ボキボキと。
ミチミチと。
「ああああああああああああああああああああ!!!!」
聞きたくも無い悲鳴が耳に入ってくる。
耳を塞ぎたいけれど、左手はともかく、利き手は使えない。もしこの機械が、腕を上げるという行為だけで起動し、作動するならば、それは避けるべきであろうから。
「ああああああああああああううう……ううううあ……」
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