名無しシリーズ

カルタ

空間は一時、静止して。
一時停止して。

男の悲鳴も。
周りの叫号も。

いつの間にか消えていて。

それを見計らったように。
それを待っていたと言わんばかりに、反対側、新型テレビの方向から声が。

否。

音声が、聞こえた。

『えー、どうも、どうよら最初の犠牲者が出ましたようなので、早速、説明をさせて頂きます。それでは、そのまま黙って、意気消沈して、意気阻喪して、お聞き願います』

いつ点いたのかのかも分からないそのテレビから、真っ暗の液晶画面から、四十代程度の低めの音声が流れる。

『今回貴殿方を招かして頂きましたのは、他でもなく、とある遊びをさせて頂く為であり、その遊びをしてもらう為ではありません。あくまで、こちらとしては遊びをさせて頂く側だということを予め頭の中へ入れておいてください。つまり、これは、運を試す遊びなのですよ、こちら側は、平たく言ってしまえば賭博ですね、まあ、お金は掛けていないんですけれどね(笑)、ともかく、こちらの話は置いといて、今からやって頂く遊びは、見れば一目瞭然、カルタです。幼稚園や保育園では良くやったのではないでしょうか？一般的な遊びでしょうから、ルールを知らない方はまず居ないでしょう、ですから、説明は省かせて頂きます。