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「奈々美、今日は遅番?」
あっ、この声。
振り向けば大学から一緒の加代の姿に、あたしはホッと息を付きながら受け付け用スマイルじゃなくて心からの笑顔を彼女に見せた。
「加代は真っ直ぐ帰るの?」
「まぁね。主婦はご飯作らないと」
「また明日」と付け加えて、加代は軽く手を振り自動ドアをくぐっていった。
加代は去年、大学時代からつき合ってる彼と結婚した。
もう、それは仲良し夫婦。
あたしと一緒に晩御飯なんてなかなか出来ないのが淋しいけど、仕方ないよね。
そしてあたしはまた受付スマイルを貼りつけて「お疲れさまでした」と挨拶を繰り返した。
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