高嶺の花

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「奈々美が処女だって聞いたらみんな驚くだろうね」 「ちょっ、加代!声が大きい!!」 隣で楽しげに笑うのは親友の加代。 ただいまあたしは休憩中。 屋上で食べるアンデルセンのサ ンドイッチは最高なのに会話は最低・・・・・・。 「さっさと彼氏作っちゃいなよ」 「どこにいい男がいるのか教えて」 そう言えば加代は呆れたようにため息を付いた。 「奈々美、何歳?」 「・・・・・・23」 「好きな人は?」 「モデルの篠原ヒロキ」 「それは芸能人!!リアルな世界でって意味よ!」 上から怒鳴りつける加代にあたしは思わずギュッと身体を縮めた。 だって仕方ないじゃない? いないんだから、好きな人なんて。 「言い寄る男はいくらでもいるでしょう?」 「……軟派な男は嫌いなの」 言ってくるのはいかにも軽そうな営業だったり、下心見え見えの商社マン。 コンパも何度か行ったけど、一緒に参加したお局様には厭味を言われちゃうし、 言い寄ってくるのは涎を垂らした狼男ばかり。 一度、『送るよ』なんて真摯なことを行ったくせに、いきなり道端でキスされそうになって・・・・・・。 思いっきり急所を蹴り上げて逃げて帰ったっけ。 「えり好みしすぎよ」 「最初の相手くらい選びたいじゃない?」 ちょっと強がって言ってみると、加代に大きくため息を付かれちゃった。 「じゃあ、どんなのが好み?」 「うーん、優しくて頼りがいがあってよく気が利いて、あっ、背は180は欲しいかも!あとスポーツマンで字は綺麗な人がいい!それと――」 「そういうのを『高望み』って言うのよ」 あたしの理想論を遮る加代の台詞に、あたしは頬を大きく膨らませてイチゴミルクを飲み干した。
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