高嶺の花

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「そういうの、益々萌えるね」 「っつーか、榊、女いるんじゃなかったっけ?」 はぁ――?! 彼女持ち?! こいつ絶対軽い!水素ガスより絶対軽い!! チャラ男決定っ!! 「まぁ、問題ないでしょ」 問題でしょ?! 大問題よっ! そんなあたしの心の叫びなんて完全無視で、聞こえてくるのは彼らの笑い声。 「あははっ、じゃ俺は振られるほうに1万な?」 「あっ、俺も乗った!」 笑い事じゃ無いってば!! なんて奴らなの?! あたしを賭けの対象にするなんて!! ――よしっ!! その顔拝んでやるっ! あたしはパンプスの音を響かせてそいつらの前に足を進めた。 その足音に気付いて一人が「おいっ」と声をあげる。 見ればやっぱり、人数は3人。 そして、そのスーツ姿は確実に営業マン。 どれが『榊』かは分からないけど……。 「ごめんなさい、そこいいですか?」 必殺受付スマイルを見せつけてそう言えば、二人は慌てるように「はいっ」と上擦った声をあげて自販機から離れ壁にへばりついた。 その顔はもう真っ赤。 残る一人は、自販機の前にあるベンチに足をくんで座りあたしを見上げてきた。 身長は分からないけど多分高め。 髪はアッシュブラウン、 綺麗と言うより甘ったるい顔立ちはさっきの台詞に似合ったチャライもの、 そして薄い唇に軽そうな笑顔。 たぶん、こいつが「榊」ね。
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