高嶺の花

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「おかえり、奈々美」 「ごめん。ちょっと遅くなっちゃった。これお詫び」 そう言ってあたしはさっき買ったばかりのコーヒーを相方の琴ちゃんに差しだした。 だって、あの場面でイチゴミルクを買うわけにはいかないじゃない? 本当は飲みたかったけど・・・・・・。 うん、のど渇いてたのに・・・・・・。 ・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・段々ムカついてきた。 あたしの機嫌が悪くなったのも、 イチゴミルクが飲めなかったのも、 それもこれも全部――。 「ねぇ、琴ちゃん、『榊』さんって営業の人知ってる?」 「あぁ、先週末上海支店から帰ってきた人でしょ?」 納得。 だから名前を聞いたこと無かったんだ。 一応、受付。 全社員なんて無理だけどある程度、顔や名前は把握してるつもりだもの。 「格好いいよね、榊さん!」 「・・・・・・知らない」 そう言って、あたしはフイッと顔を背けた。
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