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今日は七夕だ。
織姫と彦星が一年に一度だけ会えるという、記念すべき日。
笹に短冊を吊るし、願い事をする、という風習は誰でも知っているものだろう。
かくいう私も短冊に願い事を書いている。これはふざけているわけでなく、真剣なお願い。
"君人くんに想いを告げる勇気を下さい"
君人くんと言うのは、クラスメイトの男の子だ。整った顔立ちに眼鏡をかけ、クールさが感じ取れる。勉強も運動もできる、いわば万能人間。
バレンタインには多くの女子がチョコを届けに来るとかなんとか…。
ま、私もその内の一人だったわけだが。
競争率が高い戦いに挑むには、もはやスピリチュアルなパワーに頼るしかないだろう。
だから私は、七夕というロマンチックな日に君人くんをこの町で一番高い丘へ呼び出した。
それがどれだけ勇気のいる行為か分かって貰えるだろうか?
正直、心臓が張り裂けるかと思った。だから、いいよ、という返事を貰ったとき、私は感激のあまり気絶しそうになった。いや、していないが。
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