#1 『織姫スター』

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 夜。快晴。  絶好の天体観測日和だった。  天の川まではっきりと見える。空に散りばめられた宝石は、その輝きを強めたかに見えた。  振り向く。 『君人くんがそこにはいた。』 『初めて見る私服姿は、私の心の鐘をいっそう早く打ち付けた。』 『あ……かっこいい…!』 『「やあ、綺麗だよね、ここ」』 『私に言ったのかと思った。そんなわけないと思いつつも、若干の期待をしてしまう。』 『「うん…綺麗だね」』 『会話が続かない。緊張のしすぎ? 何か、何か喋んなきゃ……。』 『君人くんが口を開く。』 『私は……私は、』 『想いを告げるために、口を開き――』  そこで気づいた。  私は、丘の上で立ち尽くしていた。  え? 何? 一体、何が起こっているの?  さっきまで君人くんがここにいたはず……っ!  妄想だというの?  全部?  どこから?  混乱している。頭が働かない。  一体どこから?  分からない。思い出せない。  どうして? 何で?  私はふらふらと丘の上を歩く。  丘のすぐ近くにある竹林が目にはいる。  七夕。告白。  そうか……  私は、  私は、呼び出せなかった…………?  その時。  私は丘から足を踏み外し……  竹林にかけられた短冊が視界に入る。    落ちていく。  たったひとつの願いを叶えるチャンスもないまま。  落ちていく。  この日から、私は――  七夕が、大嫌いになった。  …―…―…―…―…―…―…―…―
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