#2 『侵食ゼリー』

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 私は黒谷という者だ。  "黒谷製薬"という会社を経営している。言ってみれば社長という役職にあたる。  当然ながら、敵も多い。  ライバル製薬会社、人員削減でやむ無く解雇した労働者や研究員など、その数は数える気すら起こらない。  だから、別に私を殺そうとするものがいても、不思議ではないのだ。  しかし、何故…?  "私の妻が、殺されている…"  まるで一人息子の恵也を守るかの様に恵也に覆い被さっていた。  血まみれ。  血塗れ。  心臓に刺された痕。……つまり刺殺。  背中から刺されている。……だから殺人。  何で?  殺された?  私の敵に? 私ではなく? 『この愚かな女が。』 『私の財産を狙って近付いて来た女だ。』 『死んで当たり前だろう?』 『何を悲しむ?』 『私の中の悪魔がそっと囁く。』 「黙れッ!」  思わず叫んでいた。  その声を聞き付けたのだろう。使用人の一人が私のもとへ駆けつけてきた。 「旦那様、いかがなさいました?」  と、彼は、  この惨状を目の当たりにした。  してしまった。
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