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私は黒谷という者だ。
"黒谷製薬"という会社を経営している。言ってみれば社長という役職にあたる。
当然ながら、敵も多い。
ライバル製薬会社、人員削減でやむ無く解雇した労働者や研究員など、その数は数える気すら起こらない。
だから、別に私を殺そうとするものがいても、不思議ではないのだ。
しかし、何故…?
"私の妻が、殺されている…"
まるで一人息子の恵也を守るかの様に恵也に覆い被さっていた。
血まみれ。
血塗れ。
心臓に刺された痕。……つまり刺殺。
背中から刺されている。……だから殺人。
何で?
殺された?
私の敵に? 私ではなく?
『この愚かな女が。』
『私の財産を狙って近付いて来た女だ。』
『死んで当たり前だろう?』
『何を悲しむ?』
『私の中の悪魔がそっと囁く。』
「黙れッ!」
思わず叫んでいた。
その声を聞き付けたのだろう。使用人の一人が私のもとへ駆けつけてきた。
「旦那様、いかがなさいました?」
と、彼は、
この惨状を目の当たりにした。
してしまった。
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