ある日のブラックダイヤ

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「今年の流行はあまり重くない装飾の、スッキリしたデザインなんですよ」 タエは、小粒のダイヤの入ったシンプルなデザインのプラチナ指輪を手に取り、顔を輝かせながら自分と同年代の女性客を、自分のセールストークに引き込むように接客していた。 大葉タエはジュエリーショップの店員をしている。28歳になったばかりの長身で、髪はショートの小顔で目鼻立ちのハッキリした美人だ。 「う~ん‥素敵!わたし、指輪って大好きなのっ!!あなたも好きそうね?指輪!」 「ハイ!わたしも大好きなんです。それでこの仕事始めたくらいで!」 手応えありとばかりに、笑顔で答えるタエも、嘘ではなく本当にアクセサリーは大好きだった。 (お客とのフィーリングもバッチリ!商品のデザインも気に入ってくれたみたいだわ…後は値段交渉ね) タエは、高鳴る胸を抑えお客の予算を探る…。
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