ある日のブラックダイヤ

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「先日、彼氏に指輪をプレゼントしてもらったんです」 女性客のその彼女は少し間を置くと、ため息混じりに小声を絞る。 「100年に1度取れるかどうかのブラックダイヤが、南アフリカで奇跡的に採取されたんですって…そのダイヤをあしらった凄く高価な指輪なの…」 タエの中で、少し白けた空気が漂う。 (えっ?なに?自慢?) 女性客は白けたタエに気づかずに、続けて言った。 「彼、オレが最高の指輪、プレゼントするからって、わたしの趣味なんて全然おかまいなしで…凄く高価なものばかり買ってくれるんですけど、わたしが喜ばないと怒るの…」 哀し気な顔をすると、最後に「わたしの趣味で買ってきたものを、認めようとしないのよ…」と呟いた。
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