Prologue

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4月… 初めてあなたを見たのは、私が新任教師として初めてこの学校に来た日だ。 4月の風は気まぐれで… 突然突風が吹くことがある。 その時もそうだった。 急に強い風が吹き上げ、校門の前で一瞬目を瞑った。 校門の所には大きな桜の木が花を付けて咲き乱れていた。 花びらが宙を舞ってひらひらと落ちる。 あなたはその様子を見ていた。 愛おしそうに見つめるあなたの姿を私は綺麗だと思った。 私の中の時間が止まって、この世界にただあなたと二人きり… そんな感覚は瞬く間に周りの雑踏に掻き消されたけど。 でも気付かなければよかった。 誰かを好きになることが罪になるなんて、この時は思ってもみなかった。
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