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堅苦しい始業式も終わり、生徒はそれぞれ教室に戻る。 私も足早に自分の受け持つクラスへと急いだ。 受け持ちは2年C組。 担当は数学Ⅱ。 こう見えてもバリバリ理系頭だ。 教室の前に立ち、深く深呼吸する。 ついさっき体育館で新任教師として校長に紹介されたばかりで、その時の緊張がまだ残ってるようだ。 『邪魔なんだけど。』 後ろから声がして咄嗟に身を引いた。 「ごめんなさい!」 声の主を見上げると今朝桜の木の下で見かけた男の子だった。 『入るなら入れよ。』 「あ、すいません;」 どうして私が敬語になってるんだろ… そう思いつつ、彼の後を追って入った。
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