慶応四年

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「源さん! 逃げてくれ!」 近付き過ぎた敵の気配に"抜く以外道なし"と悟った土方は、そう言って鞘から刀を抜いたのと同時であったかもしくは先であったかパーンッと乾いた銃声が辺りに響いた。 その直後、横からバサッと何かが倒れた音がしそちらに目をやれば井上が腹から血を流し倒れていた。 "何が起きた?" "どうして源さんが血を流して倒れているんだ?" 土方は視界の色を失い、代わりに井上の腹からドクドクと流れる血だけが鮮明に映っていた。
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