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「残念でしたね、銀君。潔く諦めて下さい」
冷淡に言い切る沖田だったが、田村はうずくまったまま動かない。
不思議に思った藤堂は田村の元へ駆け寄り、押さえられていた左手小手をそうっと外した。
するとなんと、田村の左手首が真っ赤に腫れ上がっているではないか。
「総司! やりすぎなんだよお前は!」
一体どんな打ち方をすれば、防具の上からこれだけの損傷を出すことが出来るのだ。
下手をすれば骨に異常が及んでいるかもしれない。
「すみません、加減ができなくて……」
「とにかく医務室に連れて行く! 総司は水汲んで来い! うんと冷たいやつな」
次の瞬間にはもう行動に移っていた。
沖田は冷たい井戸の水を汲みに。
藤堂は、田村の怪我をしていない右手を引いて建物の中へと向かった。
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