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―――――……
――……
とある一室の障子を開けると、中で机に向かっていた人物が振り返った。
藤堂とまではいかないまでも割と小柄な、中性的な顔立ちをした青年だった。
「よかったぁ。烝君居てくれた」
部屋に居た青年は、藤堂の背後に居た少年を見留め、首を傾げた。
「どうかしました?」
「それがさ、総司の奴がこの子を叩きのめしちゃって。手首痛めたみたいなんだ、診てくれる?」
「また沖田さんですか? ……全く、あれほど無闇に怪我人を増やすなと言っておいたのに……」
露骨に眉間に皺を寄せていたが、それでも手は動いて田村の手首の状態を調べ始めた。
「山崎君。隊医さんだから安心して」
戸惑っていた田村に藤堂が補足。
隊医と聞き肩の荷が下りたのか、田村は小さく息を吐いた。
先程の台詞ではあまりここには居ないような言い種だったが、そんな調子で隊医が務まるのかと疑問に思う。
「うん……骨は大丈夫だから、冷やして固めておけば直腫れも引きますよ」
その言葉に二人、ほっと胸を撫で下ろした。
そこへ。
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