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「本当ですか? まだ僕にも望みはありますか!?」
山崎の言う事は至極正しい。その通りである。
しかし、田村の入隊をやんわりと、やんわりと諦めさせようとしていた組長二人にとっては最も言ってほしくない台詞だった。
作戦失敗。
精気が戻ってしまった少年の顔を見て、沖田は深く溜め息をついた。
「銀君。どうして隊(ここ)に入りたいんですか?
新選組には命の危険が伴う仕事だってある。厳重な隊規もある――小さいお人には荷が重いですよ」
隊規、局中法度
其の一
士道に背くまじきこと
其の二
局を脱するを許さず
其の三
勝手に金策を致すべからず
其の四
勝手に訴訟を取り扱うべからず
其の五
私の闘争を許さず
以上に背いた者は切腹という、厳しい罰則が伴う。
戦場で殉職した者よりも、隊規違反で命を落とした者が多い程だ。
それでも。
少年は臆する事無く。
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