140人が本棚に入れています
本棚に追加
スパーン!
隣室との境界が、勢いよく開かれた。
「なかなか骨のある子がいるじゃないか! なあ、トシ」
現れたのは、大口を開けて眩しい笑顔を放った男。
田村から見れば"おじさん"の領域。
けれども何故か彼が現れた途端、田村以外の皆が姿勢を正した。
「盗み聞きですかぁ、近藤さん」
沖田が冗談交じりに言えば、今度は田村が姿勢を正す番だった。
「近藤さん……き、局長さんですか!?」
新選組局長近藤勇といえば局中一の有名人である。
まさか会えるとは思ってもみなかったので、背筋はぴーんと伸びきってしまっている。
「君、名は何と言う」
「た……田村銀之助と申します」
両脚を揃え、両手を添えて、丁寧に御辞儀。
最初のコメントを投稿しよう!