一年契約

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  慶応二年 神無月 京都西本願寺新選組屯所の縁側で、二人の隊士が寛いでいた。 縁側から足を投げ出しのほほんと外を眺めている、青年というよりは少年と表現した方がしっくりくる程小柄な彼。 名を藤堂平助。 最年少にて、新選組八番隊組長という役職を預かる隊士である。 そして、その藤堂へ背中合わせに寄り掛かり、物干し竿に干された布団のようにぐでっとひしゃげている者が居た。 その表情は至極不機嫌そうで、何をするでもなくただ藤堂に対して全体重を預けている。 藤堂より一回りか二回り大きく、下手をすれば潰してしまいそうだ。 彼はこれでも新選組一番隊を率いる組長、沖田総司という。 暫く沖田の座椅子にされていた藤堂は、遂に嫌気が差したのだろう。背中にぴったり張り付く布団に、鬱陶しそうに話し掛けた。 「総司、いい加減重いんだけど」 すると沖田は一度背中合わせを止めて体を返し、今度は藤堂の肩に顎を乗せて、負ぶさるようにしがみついた。 しかし背中と違って顎は硬い。つまり、痛い。 勘弁してくれ。  
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