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そこでようやく沖田は藤堂に体重を掛けるのを止め、縁側にごろんと横になった。
陽射しがぽかぽかしていて、気持ちいい。
恐らく入隊するであろう新入隊士を心の隅で心配しながら、藤堂も同じように天を仰いだ。
二人が並んで縁側を塞いでいる。
もし人が通ったらどうするつもりだ。通行妨害も甚だしい。
だがしかし、その縁側の障害物も直に片付くこととなる。
「だから駄目だと言っているだろうが!」
何処からか響き渡った、何者かの怒鳴り声によって。
―――――……
――……
藤堂や沖田を飛び上がらせた怒鳴り声の主は、屯所入口、門の前に居た。
門番をしていたらしい、浅葱色の羽織を着た隊士が一人。
向かい合うは門番より頭二つ分は背の低い男の子だった。
きっちりとした袴を着込み、髪は頭の高い位置で一本に結ってある。
二人は獅子奮迅の勢いで言い争っていた。
「なんでだよ、隊士募集してるんでしょう? なんで面接も受けさせてくれないのさ!」
「ここはお前のような餓鬼が来る所ではない。帰れ!」
「僕はもう十一だ、餓鬼じゃない!」
「何処の国に十一の餓鬼を餓鬼と呼ばない族(やから)がいる!」
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