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論争はなかなか治まらない。
一進一退の攻防。
その攻防を一時的にでも抑えたのは、他でもない、騒ぎを聞きつけてやって来た沖田と藤堂だった。
「どうしたんですか、梅戸さん」
「沖田先生! 魁(さきがけ)先生!」
救いの神が舞い降りた!と、門番梅戸は二人に笑顔を向けた。
因みに魁先生とは藤堂のあだ名で、戦闘の際などいつも先駆けて行動する彼を、平隊士などが尊敬を込めてそう呼んでいたのだ。
「この子が入隊試験を受けたいと言ってきかないのです。先生方からも何とか言ってやって下さい」
この子と示されその方を見れば、まあ確かに、新選組とは不釣合な小さな子供がそこに居た。
ここは子供好きの沖田。
話をしようと前に出たのだが、少年の方はというと近付いて来た沖田ではなく少し後ろに居た藤堂を見、失礼にも指を差して門番梅戸に怒鳴った。
「他にも子供いるじゃん!」
「「「…………」」」
束の間の沈黙。
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