足跡

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狙って来たのだから、当然白い車はない。 一応ピンポーンと鳴らして、中から人が出てこないことを確認する。 鍵は、一度下見したときに開け方を修得した。 鍵を持っていなくても、拾った針金で開けることができる。 俺はドアを開け、素早く中へ入り、そして素早くドアを閉めた。 一旦動きを止める。 すぅーっと息を吸い、その空気を吐き返す。 少し緊張が軽減されて、よし、と土足のまま右足を踏み入れる。 その足が、玄関にあった片方のサンダルに当たって、コツンと音を立て倒れた。 大きな花が咲いた、ピンク色のサンダルだ。
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