初めての朝

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 「しぃ?」  私を愛しそうに呼んで首を傾げている彼。  傾いだせいで、肩口にさらりと薄茶の髪が流れた。  それが目に入って私は……  「――きょう、すけ」  そっと名前だけをなんとか口にした。  だけど、口にしてからそれがとてつもなく恥ずかしくなってまた俯いた。  そんな私を1段上からキュッと手を伸ばして、恭介の腕に私は抱きしめられた。  「離したく、ないな……」  頭上でぽつりと呟くそんな声が聞こえたけれど、私はやんわりと彼の胸板を両手で押して  「ごめんなさい。お邪魔しました」  ぺこりと頭を下げて、玄関の取っ手を握ってドアを開けた。  振り返らずに出て行く私に  「絶対。また会いに行くよ」  そんな声が後ろから響いた。
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