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「オハヨ」
ぼやーっとした顔で、ぼさっとした容姿で軽く挨拶をする。
しかも上半身どころか、下半身にも何もつけていないことはお互いに知ったこと。
私は毛布を引き寄せて、胸元をしっかり隠して彼の方に向きお尻が見えないようにしてから
「オハヨウゴザイマス」
カチコチのロボットみたいな喋りで小さく言った。
「ハハッ。さっきの叫び声はどこいったの?」
「へっ!? 聞いてたの?」
「聞いてたというか、普通この距離であれだけ叫ばれたら聞こえるから」
にこりと笑って首を傾げると少し襟足の長い、薄茶色の髪がさらりと流れる。
私たちの居るベッドに朝日が射し込んでいて、それがキラッと光った。
綺麗……
そう思った。
特別男前ではないかもしれない。
だけどこの人には、雰囲気がある。
どことなく大人の色気を感じる……多分私にはないだろう色気が。
だから、どうしてこんな人が私などを連れて来たのか不思議だった。
たまには違う味も試しちゃうことになってもいいか? みたいな感覚だろうか?
そんな風にして、いつもみたいに一人で喋っていたら(もちろん頭の中でね!)
グイッと後頭部を引き寄せられて―――軽く唇にチュッとキスをされてぼんやりとした思考から現実に戻った。
「しぃ……起きてる?」
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