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私にはこの人の頭の中の方が、どうして? だ。
私は軽く睨みつけるように彼を見て
「どうしてじゃないです。あなたには悪いですが、私そんな気ありません」
「じゃあ、そんな気になってもらえるように頑張るよ」
なんともポジティブな返事が返ってきた。
「どうして……?」
「君が欲しくなったから」
「――っ!?」
恥ずかしげもなくそう言われて、火が出そうなほど赤面した。
「今日は許してあげるよ。だけど……次に君を捕まえたときは、全力で行くから覚悟して?」
彼がどうして私に執着しているのかは分からない。
でも、とりあえず今は解放してくれることは分かった。
だから私はコクンと頷いた。
けれど―――
「分かりました。だけど一つだけ」
「ん。何?」
彼は私の顔を、何を言いだすんだろうという表情でじっと見つめてきた。
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