序章 【土井歩】

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瞬歩は主に暗殺稼業や 追跡戦など少しの時間も無駄に出来ない状況に活かせる技であり 倉地程の使い手にもなれば動体視力も追い付いているので 繊細な動きが出来ないわけでもないのだが 武田の脚は想像以上に速い いや、速すぎる まともに追えば、あっさりと逃げられてしまうだろう だから倉地は敢えて最短ルート 即ち真っ直ぐの軌道で武田の背中を追う 真っ直ぐ走れば勿論、警備員の何人かを吹き飛ばすことにもなったが この場合は致し方ない 倉地はそんな暴挙を許される立場にいる人間であり 土井歩もそれを責めはしないだろう 最短ルートを走ったお陰で、武田の前に素早く立ちはだかることは出来たが その時、武田はすでに 五つ手前の警備室内に到達していた 倉地(技も小細工も無しにここまでのスピードをキープして走るとは… なんという速さじゃ 先の戦争ではここまでの使い手には見えんかった… まさか力を隠していたのか? ワシや掛川は愚か歩様まで出し抜かれようとは 信じられん話じゃな) 武田「どけっ!!!!!!」 怒号と共に繰り出された一撃の拳 倉地は大刀の腹で受けたが、衝撃で後ろへと吹き飛ばされた 倉地(ば…馬鹿な!?)非常に丈夫な鉱物を素材とした刀を持っていた事が幸いし、自身にも刀にもダメージは無い しかしそれは、自ら後ろへ飛んでダメージを逃がした故の結果であり まともに堪えていたら、刀は無事でも自身の身体は無事では済まなかっただろう そして3秒ほど遅れて掛川が追い付いた頃には 武田が自身の武器を手に握りしめていた
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