17 years ago

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社長は迷い無く近づいて行く。 何も恐れず、どんな困難も信念で払い除けてきた男だ。 解決出来ない問題など存在するはずもないと思っていた。 「…これが、俺の子か?」 一見すると普通の健康そうな新生児が保育器の中で、気持ち良さそうに眠っている。時折手足がモロー反射で跳ねるように動く。 「何か問題があるのか?」 産まれたばかりの自分の子を見つめたまま、背中越しに問い詰める。医者はゆっくりと近づいて来た。 「―…新生児の中には脂肪の塊が手の部分に突出して、6本目の指のように見える子が時たま産まれます」 社長は即座に子供の指を数えた。両手指ともちゃんと5本しかない。 「そのような場合、ご両親の判断で切除したりもするのですが…」 「何だ?ちゃんと指は5本だぞ。何が言いたいんだ?」 医者は保育器のカバーを開き、丁寧に赤ん坊を抱き上げた。 「ご覧下さい。お子様はそれが肩の所に在りまして…」 社長は絶句した。肩にあるそれは、脂肪が突出しているというよりはむしろ… 何かがはえて来ている様に見える。 そしてこの様な時であっても社長の判断は早く迷いもなかった。 「切除を…たのむ」
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