転校生

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追撃隊を組織したFクラスは吉井を殺しに出かけた 教室に残ったのは坂本、姫路、木下と呼ばれていた者と俺 「坂本、事態を荒らして何がしたい?」 俺は坂本に問うと 「簡単だ。俺は明久の幸せがムカつくだけだ」 「最悪だ!」 「最悪じゃな!」 俺と木下の声がかぶる 「三人は動かないのか?」 壁によしかかって三人を見る 「勿論動く。明久の来る場所なら見当がつく。あのバカなら間違いなく来る」 坂本が言うと姫路が 「あの……私もついて行っていいですか?」 「ん?構わんぞ」 「あ、はいっ」 吉井……終わったな 「ところで吉井の来る場所とは?」 「ああ、屋上だろう」 「……ああ、なるほどね」 理由はわかったので説明は不用だ 「じゃあちょっくら行ってくるぜ」 坂本と姫路が教室を後にした ある程度たってから耳を澄ませる 同じ三階の会話なら少しは聞こえるかな 『……吉井、待っていたぞ』 この声は、須川だったか? 『須川君。君まで僕の邪魔をするのかい?』 あ、あってた 『もちろんだ。吉井にはここで死んでもらう』 クラスメイトに抹殺宣言か 『ぼ、木刀……』 何でそんな物を…… 『剣道部から借りてきたんだ。吉井を止める為になっ!』 吉井の為にそこまでやるか 『うわっ!とっと-!』 お、かわしたか 「どうしたのじゃ?」 「あ?ああ、木下。か?」 「うむ?そういえば紹介がまだじゃったか」 変わった話し方だな 「わしは木下秀吉というんじゃ」 「改めて萩野倖だ。よろしくな木下」 「ところで、おぬしも容姿に問題を抱えておるようじゃの……」 「ああ、お互い苦労が耐えないようだな……」 俺と木下は苦労話を続けた 「ん?どうやら吉井が屋上に着いたみたいだ」 「随分耳が良いようじゃの」 「ああ、生まれつきな」 「して、どうなったんじゃ?」 「ちょっと待ってくれ」 耳を澄ませる 内容の一部始終を聞き終えて 秀吉の方に向き直り、合掌してみせる 「明久よ。哀れな……」 秀吉も合掌 まあ、おかげでFクラスが少しわかったな
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