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夕方の商店街は昭和に生きてなかった私でも懐かしい気分にさせてくれる。
ふと、今日の夕食のメニューが閃いた。
「すみません、鯵を5つください」
「あいよ」
自分を含め五人分の魚をビニール袋に入れてもらい、家へ帰ろうとした。
そしてそれは現れた。
黒い影が後ろから左側をすり抜け、私の前に立ちはだかる。
その口にはビニール袋がぶら下がっていて、私の手から消えたものだった。
「えっ…と……」
相手が人なら話せば分かるだろう。分からない人もいるだろうが。
だが相手は獣、相手に言葉は通じない、私も獣の言葉を知らない。
「……」
獣は黙って踵を返し、路地裏へ走っていった。
私は獣と今日の夕食を追い掛けた。
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