第一章 黒い玉

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しばらくすると、様々な明りにてらされ、呼び込みや同伴しているオッサンどもが賑わう、建物の群れが見えてくる。 それらは眠る事を知らないよう、昼間のような明るさを保ち続けている。 その身をそこに溶け込ませ、目当ての店に到着した。 “リップエアライン” 店名を確認して、息子と期待を膨らませながら店に入った。 「一名様ご来店でーす」 そう、言われながら金髪の今風ボーイに通される。 ピンク色の光をひと際大きいミラーボールが反射させ、妖艶なる雰囲気を漂わせている。 ソファー席でセクハラまがいのお触りをしているオッサンどもは、幸せそうな面だ。 「気持ちわり…」 呟きながら、自分もそうみえるのかと思うと、気持ちが沈んだ。 店の奥にある半個室の席に通される。 「アキちゃんご指名ですね、少々おまちください。」 「あきちゃん指名入りましたああああああー!!!」 店内全域に轟く声に対して俺は思った。 こいつヤッチャッテモいいかな…
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