一話~ある夏の日僕は天野と出会う~

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 皆はあまのじゃくを知っているだろうか?  あまのじゃくとは天邪鬼と書く。九州ではアマンジャグメと言うらしい。実にどうでも良い話だ。  で、この天邪鬼がどういう物かというと、どうやら妖怪、化物の名前で、人間様に対して色々悪さを働いてきた悪者だそうだ。人と反対の事をする人間を天邪鬼と呼ぶって事くらいしか知らなかった僕としては、「へえ……すんげえどうでも良いわ」と感嘆の台詞を吐かずにはいられない。  さて、そんな無関心な僕が何故に突然天邪鬼の話題を出したかというと、これが我が校の九不思議の内の一つだからだ。  ちなみに、九不思議の内の七つはどこの学校にでもあるメジャーな物だ。異質なのは後の二つ。最近プラスされたという物だ。  その一つが今述べた天邪鬼だ。  曰く、我が校には天邪鬼が出るらしい。  「……んなアホな」  思わず声が漏れる。  それに反応した友人が、僕に話しかけてきた。  「よお、どうしたんだよ晴れない顔して」
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