一話~ある夏の日僕は天野と出会う~

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 「いや、実は――――」  僕は九不思議の中に天邪鬼が出るというのがあるという事を伝えた。  「ていうか天邪鬼がどういう物か知ってるか?」  「当たり前だろ?常識じゃないか」  肩を竦める友人。僕としては妖怪の事なんて常識にしないでほしいが。  「でもどうしたんだ急に。お前ってそういうオカルト染みた話苦手じゃなかったっけ?」  「苦手じゃない、嫌いなだけだ。それも怖いというんじゃなく、科学的に実証されないから嫌いなんだっ」  「科学的に実証されないから楽しいんだと思うけどな、オカルトってのは。で、そんなオカルト嫌いなお前はどうして九不思議なんて物で悩んでいる?」  「調べてやろうと思ったんだ」  「そりゃあ良い。ぜひ夏休みの自由研究で思う存分調べて発表してくれ」  そういえばもうすぐ夏休みだ。時の流れは早い。つい最近進級したと思ったのに、今では夏休みが目と鼻の先にある。  実に感慨深い物だが、これは良いタイミングかもしれない。ウチの学校に自由研究なんて宿題はないが、どうせ調べるならとことん調べたい。
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