ブーゲンビリア

12/15
前へ
/23ページ
次へ
「手当てするから、脱いで」 「大丈夫、自分でやるよ」 泣いて鼻を真っ赤にした真利は私をソファに座らせ言った。 「脱げよ」 「っ、…分かった」 泥の付いたブレザーを袖から抜いて真利に渡す、邪魔になるリボンも首から抜き取った。 「っ」 「あれ、染みた?」 「大丈夫、だよ」 私からワイシャツを脱がそうとはしない。傷の位置までワイシャツをめくるだけだった。 「いたっ!」 「これ」 真利は太股の辺りを強く突く。 「昨日俺が作ったやつだよな」 「いたい…!」 真利が言う、作ったやつは大きな青痣の事だった。突くだけではなく、ぐりぐりと押し続ける真利。 「っあ」 その痛みはちくりとした物に一瞬だけ変わった。 「俺の、って印」 ぺろ、と下を出して笑う真利に一瞬泣きそうになった。不意打ち過ぎるから困る。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加