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ああ、気が狂う。いや、もう狂ってるか。
こんな事をする男と付き合えてるなんて自分でも驚くほどだ。
彼は麻生真利(あそうしんり)、物心付いた時から一緒にいた。そして、真利をこんなにさせてしまった原因は、他でもない、私だ。
「葉澄、…ごめん」
彼が私の名前を呼ぶ度に、私は彼を許してしまう。愛してしまう。
私、沖野葉澄(おきのはすみ)は、歪んだ愛を愛していた。
これで、いい。これでいいんだと、思っている。
「何か、あった…?」
「…!」
私がそう聞くとぴくりと真利の肩が揺れた、ああ、聞いてはいけない事だった、と今になって思う。
こんどは何をされる?また殴られる?酷い時には何度も足蹴にされた。
「ねえ、真利、―――」
トン、と首筋に衝撃、私はそのまま気を失ってしまった。
「虐められてるなんて、知らねえよ…」
本当の彼が、こっちだったら、何人の女が泣くんだろうか。
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