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恥ずかしい。真利はそれをも分かった顔で笑う。やっぱり同じ笑顔、昨日と変わらない。
「可愛いね、葉澄」
「っうるさい!、…朝ご飯何にする?」
「葉澄の作る物ならなんでもー」
「はいはい、」
私はエプロンを身につけて、キッチンに立った。今日はオムレツにしよう。そう考えて私は真利に目を移した。
…昨日と同じ顔で笑う真利は昨日とは違う真利。いや、真利は真利であって、何も違うことなんてないのだけれど、
「昨日は悪かったな」
「!!」
低い、ドスの聞いた声が聞こえた途端、私の心臓は痛いくらい跳ねた。
「…何もねえよ、何も」
その場から立ち上がって、私に近付いてくる真利の顔から目を反らせずにいた。そして、彼の手が私の頬に触れた時、私はやっと彼から目を逸らす事が出来た。
「へへ、顔真っ赤」
ちゅ、と軽く触れた唇に私は驚いて顔を上げた。
「朝ご飯、楽しみにしてる」
…真利は、真利だ。
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