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「葉澄、」
呼ばれた声に振り返ると、教室のドアに真利と美遥の彼氏、透くんの姿があった。
「げっ、」
透くんの姿に美遥は声を上げた。
「げっ、て何、美遥?」
「な…なんでもない…」
透くんから完全に目を逸らす美遥に私は笑みが零れた。
あれでもちゃんと愛し合っていて、凄く仲が良い。私は心の何処かで羨ましいと思ってしまった。
「葉澄、今日一緒に帰れねえから」
「え、あ、分かった」
真利の口調に一々反応してしまう。それと同時に心臓も跳ねる。
「悪いな」
「いいの、大丈夫」
彼は自分勝手すぎる。
私が一緒に帰れないと謝った時は、跡が残るほど腕を握られた。そして、彼は私の用事が終わるまでずっと待った。
そこまでやる彼が自分から一緒に帰れないと言ったんだ、私は余計に心配になって、少しの怒りを覚えた。
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