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「へへ、結構疲れてたんだね、私」
「…大丈夫なの?」
「何が?」
美遥の問いを私は分かっていて質問する。これで私は平然を装う。
「…葉澄…」
「いつもの事だよ、じゃあまたね」
鞄に適当な物を詰め込んで私は教室を後にした。毎日愛されているのは私の方だ。……ああ、体育館裏に行かなくては。
体育館からわーわーと声がした。今の時間はバスケ部が使っているのかな。
「話し聞いてるの?」
「はい」
体育館裏に着いた私はすぐに3人の先輩に囲まれた。見た事のない顔だ。昨日の化粧の濃い先輩は何処へ行ったんだろう。
「だから、別れろって言ってんの」
「どうしてですか」
「あたしが、真利の事好きだからよ」
彼の名前が先輩の口から零れる度、頭が痛んだ。止めて、その汚い声で真利の名前を呼ばないで。
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