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椿姫は野薔薇をプールサイドに上げて、横たえた。
心配して湊と花音も来ている。
椿姫は重い体を押し上げて、野薔薇を甦生しに掛かった。
顎を持ち、少しあげて軌道を確保する。
鼻を摘んで、椿姫は野薔薇に口付けた。
これは人工呼吸だと分かっていても性懲りもなくドキドキする。
野薔薇が抵抗しないから余計に苛めたくなる。
抵抗しない野薔薇は野薔薇では無いのだ。
ゆっくりと二回呼気を吹き込む。
今度は心臓を三十回圧迫する。
野薔薇の口から呑み込んだ水が出てきた。
『野薔薇、生き返ってください!!
俺を一人にしないでください!!』
椿姫は祈りながらもう一度口付け、呼気を送った。
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