迷い子

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「素直に言うことを聞いていればこうはならなかったのにな、お嬢ちゃんが悪いんだよ?」 声をかけた男はそう言ってにたりと笑った。 「煩い」 途端に男は青ざめて跪いた。 俺があいつの鳩尾に蹴りを入れたからだ。 「ぐ…がは。 子供だと思って優しくすればいい気になりやがって!!」 男は逆上して俺につかみかかろうとした。 「愚か者」 俺は軽々と奴の頭までジャンプして頭に蹴りを入れた。 当然男は脳震盪を起こして気絶した。 ぱちぱちぱちぱち。 不意に何処からか拍手が聞こえた。 「素晴らしいね」 新たに現れたオジサンはそう言って俺の頭を大きな手のひらで撫でてくれた。 そうだ…父さんはこんな風に温かかった…でも、今の父さんは冷たくて、いつも以上に固い…。
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