迷い子

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俺はお屋敷と呼ばれる所に来た。 黒い服を脱がされて可愛いピンク色のワンピースを着せられる。 とても可愛いのだが高そうだった。 「オジサン……」 「あぁ、忘れていたよ。 キミ、なんて言うんだい?」 オジサンが俺に尋ねる。 「人に名乗らせるなら、まず自分が名乗らなきゃいけないんだぞって、お兄ちゃんが言ってた」 「あぁ、そうだったね。 おじさんの名前は紅 瀧姫(クレナイ ソウキ)だよ」 「瀧姫?」 「そう、瀧姫だ」 「私は、野薔薇。 安倍 野薔薇」 俺はそう言った。 「野薔薇…幾つ?」 「みっつ」 俺は知らなかった。 知らなかったんだ……。
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