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数日後、俺は紅 瀧姫の養子にされた。
紅 野薔薇として、俺は今紅邸の薔薇園にいる。
外でティータイムを楽しむための白い椅子に座りながら薔薇を眺めていた。
でも、俺の心を捕らえて離さないあの薔薇の方が美しい。
「椿姫、今日からお前の姉になる野薔薇だ。
挨拶しなさい」
不意に瀧姫の声が聞こえた。
「こんにちは、野薔薇お姉さん」
瀧姫に手を握られている、無感情、無表情な椿姫と呼ばれた男の子が抑揚もない声で挨拶した。
「野薔薇、これからお前の弟になる椿姫だ」
今度は俺に瀧姫が椿姫を紹介する。
「椿姫……」
俺は再び椿姫の名前を口の中で繰り返した。
「一緒に遊ぼう、椿姫!!」
俺はにっこり笑って椿姫に手を差し伸べた。
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