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―――
「……アイス」
「ほら、野薔薇」
そう言って湊が差し出したのはアイスだった。
「お兄ちゃん、俺、今なら分かる。
鯨は魚じゃなくて哺乳類だってコト…」
「っ……ははは」
そのしんみりとした発言を聞いて湊は大爆笑した。
「///!?
なっ…なんだよっ///!?
人がせっかく……っ///!?」
ぎゅ……。
「うん、そうだよ野薔薇…」
「ちょっ……///
お兄ちゃん!!
お兄ちゃんにはお義姉ちゃんがいるでしょう!?」
「いいんだ」
そう言って湊は野薔薇の小さな体を抱き締める。
「やっと…やっと大切な記憶を思い出せたんだ」
その吐息のような一言に、野薔薇は何も言えなくなった。
「狡いよ…」
そう呟くのが精一杯で…。
「行こうか」
そう言って差し出された湊の手を野薔薇は掴んだ。
湊の妹として。
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