pursue

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「こんなとこあったの、知らんかったな・・。」 古書特有の、チョコレートに似た甘い香りに気をとられた。 本好きにはたまらない。 立ち止まり、ついつい、傍の棚に手を伸ばす。 「・・ッやべ。緑鬼さん!」 我に返り、はっと辺りを見回した。 と、微かに目の端で揺れる白い綿毛の耳。 「そこか!」 足に力を入れ、うさ耳が揺れた棚に駆け寄る。 遠目に見ても、一際大きな棚・・だと思った。 「扉・・?」 扉だった。 英語で言えばDoorだった。 大きく、堅固で、古びた扉だ。 どのくらい大きいかと言えば、ザンギエフを縦に二人重ねたくらいかな。 ザンギエフ見たことないけど。 「この中?別に部屋でもあるのかな。」 とりあえず、扉を軽く押してみる。 びくともしない。 引いてみた。 ぴくりともしない。 よく見れば、扉には鍵穴がついていた。 「いちいち鍵を開けなきゃいけないのか。オートロックとかやけに防犯対策徹底してんな・・。」 仕方なく、何処かに鍵が無いかと辺りを見回す。 いや、見回そうとした。
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