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嫌にデカイ扉を二人組に開けさせて(すげぇ辛そうだった)、足を踏み入れた先は、別室ではなかった。
「涼し・・。」
そこは屋外だった。
正確には森の中だ。
鬱蒼と生い茂る木々に阻まれ、空を仰ぐことは出来ないが、人一人が悠々と歩ける小道は拓けている。
「「行ってらっしゃいませ!アリス様!」」
「あ、ちょっ!」
僕一人かよ!
慌ててあのビッチな髪色の二人を引き入れようと振り返る。
「・・えっ。」
驚いた。
僕はつい、ぽかん、と口を開けた。
僕の後ろには、もう複雑に絡み合う、薔薇の生垣しか存在しなかった。
「無茶ぶり乙。」
とだけ突っ込んでおく。
仕方がないので(僕は物事を簡単に受け入れすぎている気がする)、道を歩いてみる事にした。
有難いことに、このよくわからない場所は、少なくとも日本の季節設定とはずれているらしい。
「ま、軽い散歩だと思っとけばいいか。あのうさ耳お姉さん、可愛かったし。」
しばらく、ゆっくり歩いていれば、突然大きく開けた場所に出た。
バカにでかいテーブルに、薄汚れたクロス。
そこでバカ騒ぎしている三人・・いや三匹・・?
「お前ら逃げろ!ボクの左腕が暴走し・・っ!」
「何をやってるんですかナカ兄さん。」
「いや、ボクはマッドh「何してるんですか兄さん。」」
見慣れた人でした。
兄さん(マッドハッター)は、その場にしゃがみこんで【の】の字を地面に書き始めた(凄くウザイ)。
「やぁアリス!お茶をしに来たのかい?」
「みっくん?」
黒いうさ耳を付けた金髪の少年ことミラスイが、口元に生クリームをくっつけて駆け寄ってきた。
(あぁ、アリスってウサギキャラ二匹居たっけな。)
「お茶って?」
「オレ達は、ずーっとお茶会をしてるんだ!」
みっくんこと三月ウサギは楽しそうに笑う。
こんちくしょう、かわいこちゃんめが。
と、自力で立ち直った兄さん(ウザイ)が、シルクハットを脱ぎ、紳士宜しく腰を折って見せる(ウザイ)。
「そうさ!さぁ、アリスもティータイムを楽しんでくれ。」
「ウザイ。」
耐えきれなかったんです。
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