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「しぇ・・しぇにゃかが・・うでが・・あぁ。」
紅茶を汚すもの、人に非ず。
満足した僕は、三月ウサギのみっくんを振り返った。
そんな、耳を折って震えなくてもいいのにな。
「みっくん。」
「ひぁぁああぁぁい!」
どっから出てんのかよく分からない奇声を上げて、みっくんが最早爪先立ちレベルに背筋を伸ばした。
いてこますぞ。
「金髪のウサギさんを見なかった?」
「あぁ、ミd「時計ウサギのことかな?」」
速攻立ち直ったマッドハッター(享年18)が、僕とみっくんの間に無理矢理入ってくる。
次は適温の紅茶ぶっかけてやろうか。
「ウザイ。キモい。」
「増えてる!」
やっぱり耐えきれなかったんです。
「ちょ、ちうに邪魔。」
「ブルース・ウィリス、お前もか!」
「ブルータスな。」
みっくんの冷静さ素敵。
またもや体育座りで落ち込み始めたマッドハッターを余所に、僕はみっくんに尋ねる。
「時計ウサギ?はどっちに行ったのかな。僕のネックレスを取られちゃったんだ。」
みっくんは、金髪の間から覗く眉を寄せて、低く唸る。
「残念ながら、オレは見ていないなあ。」
「そっか・・。」
手掛かり無しか。
他を当たるしかないかな。
溜め息をつき、みっくんにお礼を言おうと口を開いた時だった。
「世にも可笑しなマッドハッター・・いつでもなんでも知ってるよ・・いつでもなんでも聞くがいい・・むにゃ・・。」
ゆーきゃんでした。
寝言?
随分雄弁な寝言だな。
「そうだ。マッドハッターはこのワンダーランドの情報屋。マッドハッターを連れていくといいよ。」
ゆーきゃんの寝言を聞いたみっくんが、良いことを言ったとばかりに、眠るゆーきゃんの肩を叩く。
マッドハッターって兄さんのことだったよね。
と、今の言葉を聞き付けたマッドハッターことナカ兄さんが、瞳を輝かせて駆け寄ってきた。
「そうともさ!つー訳でボクもお供するから吉備団子ちょーだい!」
「「ハナシ変わってんじゃねぇか!」」
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